痛みのない身体を目指すために必要な3つの事

痛み・コリ・しびれ

こんにちは。安曇野にしやま整骨院の西山です。

今回の記事ではお身体の痛みやコリ等の改善や、予防をするうえで、私が最も大切だと考えている事をお伝えしていきます。

よって、当院での施術や、本ブログでの様々な説明は、下記3つの考えを基本としております。

痛みのない身体を目指すために絶対必要な3つの事
1.関節、筋肉等の機能障害の改善
2.正しい姿勢と負担のない日常動作を覚えて実践
3.人ぞれぞれの身体に合ったセルフケアの習慣化

治療による関節、筋肉等の機能障害の改善

不良姿勢(猫背や反り腰、ストレートネック等)や誤った生活動作が長期間継続すると、関節や筋肉も悪い状態に変化します。

例えば、猫背等の不良姿勢は頭部が前方に変位し、頸椎上部と後頭部は後屈した状態(ストレートネック)となります。この状態では、頸部の後方の筋肉は収縮、前方の筋肉は伸展状態となります。また、頸椎と後頭部の関節は圧迫された状態が続きます図1

図1 猫背における頸の骨・筋への負担
猫背になると、前方を見るためには頸椎、後頭部の関節が後屈した状態となり、関節へ圧迫の負荷がかかる。同時に、頸部の後面の筋は収縮し、前方の筋肉は伸ばされた状態となる
1)より転載。

このような筋肉のアンバランス、関節に圧迫がかかった状態では、関節は正常な動きができず、制限が生じます。そして、この状態が長期に続くと・・

収縮した筋肉は構造的に短縮し、伸展した筋肉は弱化

運動制限している関節の関節包、靱帯が短縮

関節軟骨の変性(擦り減り)

骨の変形

上記のように、悪い状態で放置した期間が長くなる程、筋肉→靱帯→軟骨→骨へとの構造の悪化は進行します2)

そして、当然進行度合いが大きい程、改善は困難となり、時間を要します。

具体的な治療法として、不良姿勢のみの段階(子供等の若年者)では、正しい姿勢を学習し、意識する事で進行を予防できる事もあります。

筋肉に構造変化が生じている場合、短縮した筋肉はストレッチ、弱化した筋肉は筋力強化、筋膜の張力が変化した場合は筋膜リリース等を、選択的に治療する必要があるため、専門家による評価、治療が必要になってきます。

縮んだ靱帯、関節包を再び元の状態に戻すためには、矯正治療を用います。この時点までくると、自身だけでのケアは難しくなってきます。なぜなら、関節を選択的に動かす時、どうしても身体に力がはいってしまうためです。筋肉に力が入っている時は、関節は動きません。

矯正治療により、正常に近い関節可動域の方向へ動きを誘導し、関節包や靱帯に伸びる刺激を与え続ける事で、関節包靱帯に存在する線維芽細胞やコラーゲンはターンオーバーされ、ゆっくりと正しい構造へ戻っていきます(数ヶ月~年単位)。また、軟骨の変性も初期であれば、矯正を行う事で関節運動が正常化され、軟骨への栄養供給は改善し、進行を抑えられます。

それでも症状を放置し、軟骨変性が進み、骨が完全に変形して関節が強直してしまうと、元の状態への改善は難しくなります。この場合は、残された機能の維持と進行の予防(筋力や周囲の関節への矯正)を目的とした施術により、「悪い状態でのベスト」を作るという考えでの治療になります。

以上の事から、症状が進行すればするほど、専門家による治療が必要となり、改善までの期間が長くなってしまいます。お身体の不調を無視せず、ご自身でケアができる早期の段階で対応する事が重要です。

正しい姿勢と負担のない日常動作を覚えて実践

地球にて生活をする以上、誰にも平等に重力という負担はかかり続けます。さらに、身体の姿勢や使い方等により、生体力学的な負担は変化します。よって、重力に対し最も負担が少ない姿勢、生体力学的に負担が少ない身体の使い方を覚える事が、痛みの予防のためには必須です。

立ち仕事や、電車でつり革につかまっている状態を例にします。
ただ立っているだけでも、骨盤を前に突き出し、腰を反って立っていた場合、腰椎、股関節は伸展方向への負荷がかかりつづけます。すると、骨盤~膝の前方部にある、股関節を屈曲するための筋肉は常に負荷がかかり、硬くなります。また、腰椎の関節は伸展した状態では圧迫の負荷が増大します図2

図2 立ち姿勢の良い例と悪い例
左:理想の立ち姿勢。足から股関節、骨盤、脊柱、頭が一直線上にあり、重力による負担を均等に分散できる。
右:悪い立ち姿勢:骨盤が前方にズレる事で、股関節は伸展され、それに耐えるよう大腿前側の筋肉は常に負担がかかる。また、腰椎は伸展し、腰椎の関節へ圧迫の負荷がかかり続ける。

次に、長時間のデスクワークをしている人を例にします。猫背の状態で作業した場合、頭部は理想よりも前方へとズレます。人の頭はとても重く(約5~6kg)、頭部が前方へズレる量が大きくなる程、それを支えるための頸肩、背中の筋肉、関節への負荷が増加します図3

図3 正しい座位姿勢と猫背座位姿勢
左:理想的な座位姿勢。頭が骨盤、背骨の上にあるため、重力の負荷を均等に分散できる
右:猫背の座位姿勢。頭が前方にズレる事で、頭の重みを支えるため、頸、背部の筋肉に負荷がかかる

尚、頭を前に15°傾けると頸椎にかかる負荷は12kg(正しい姿勢の約2倍)、60°傾けると27kg(正しい姿勢の約5倍)になるとされています3)

さらに、前述したように、頸椎と後頭部の関節は前方を見るために伸展状態となり、骨への生体力学的な負荷は増加します。

次の例として、毎日重い荷物を持ち上げる仕事の人の場合、膝を使わずに腰を前屈させて持ち上げようとすると、上体の重心は理想より前へといき、上体の重みは腰部へかかり、負荷が増加します図4

図4 荷物を持ち上げる時の動作姿勢
左:正しい持ち上げ姿勢。股関節を曲げる事で、背骨は重心から大きくずれていない
右:股関節を使わず、背骨を前に曲げている。上半身が重心より大きく前にズレ、腰部への負担が増加

前記した猫背や前屈動作における、骨、筋肉への影響をシーソーに例えてみます。姿勢や動作が身体の重心に近い状態の時は、骨にかかる重力は最小限に抑えられます。しかし。重心からズレる距離が長くなる程、骨への重力負荷は増大し、身体は倒れそうになり、それを支える筋肉への負荷は増大します図5

図5 重心のズレが骨、筋肉へ与える影響のイメージ図
上:骨が理想の重心にある状態。筋肉の負荷は最小限でバランスがとれる
下:骨が重心からズレた状態。てこの力が強く働き、骨への重力負荷が増えた分、バランスをとるためには筋肉の負担が増大する

また、姿勢による腰椎椎間板(腰骨の間の軟骨のクッション)への負担の変化の研究では、直立姿勢時の負担より、前かがみや座位姿勢の方が負担が大きい事がわかっています図6。さらに、前かがみ動作を繰り返す事で椎間板損傷がより早く発生すると報告されています4)

図6 姿勢による腰椎椎間板への負担の変化
直立姿勢時の負担を100とした場合、座位、前屈位で負担が増加している事がわかる
3)より転載。

もしこの姿勢や身体の使い方を毎日続ければ、身体への負荷は蓄積していくことが明白です。

以上の事から、いかに正しい姿勢を日頃から維持し、身体の使い方を常に意識して生活することが重要です。

人ぞれぞれの身体に合ったセルフケアの習慣化

メディアでは健康体操、腰痛体操等、様々な方法が紹介されています。しかし、このような画一的な体操をご自身に取り入れて実践するのはリスクがあります。

例えば腰痛1つをとっても、痛みは急性もしくは慢性的なものなのか、筋肉由来なのか関節由来なのか、骨盤前傾もしくは後傾が影響しているのか等、様々な状況が想定でき、実施すべき体操は変わってきます。間違った方法を実施すると、症状を悪化させてしまう恐れがあります。

さらに、生まれ持った骨格、筋肉の質や、生活習慣、活動レベルや職業等、誰ひとりとして同じではありません。痛めやすい筋肉、関節も人によって差があります。

セルフケアで効果を得るためには、ご自身のお身体に合った、正しい方法で実施、継続する事が大切です。

よって、生活背景を加味し、実際にお身体の状態を詳細に評価したうえで、適切なセルフケアメニューを処方する必要があり、そこに我々専門家が必要とされる部分であると考えます。

まとめ
・どのような姿勢や日常生活の動作が身体に負担がかからないかを知り、実践する事で痛みの予防や施術効果の維持につながる。
・不良姿勢や生活習慣による負担は、放置する期間が長い程身体への負担は蓄積し、改善のためには治療的介入が必要となる 。
・セルフケアを行う上では、まずは自身の体の状態を評価した上で、身体にあった正しいケアを日々実践する事が重要。

とても地味に感じるかもしれませんが、上記の習慣を日々コツコツと実践、継続していく事が大切だと思います。

そして、このような習慣は実践してすぐに結果に表れるものではなく、数ヶ月、年単位で、将来のお身体に影響を及ぼします。

よって、最終的には「ご自身で治す」お気持ちで、長期的な目線で継続していかなければ、本当の意味での根本治療、予防は実現できません。

以上、ご参考になれば幸いです。

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。

参考文献
1)新関 真人;マイクロ(部位別)姿勢検査 ;図解姿勢の検査法 ; 神奈川 ;医道の日本社; 2003;4-11.
2)R.C.Schafer, L.J.Faya;フィクセーションの様々な種類;カイロプラクティック動態学 ; 東京 ;科学新聞社; 2003;20-32.
3)坂井 建雄, 中村 格子, 谷本 道哉;人体の取扱説明書;ニュートン ; 東京 ;株式会社ニュートンプレス; 2020,40-3;22-35.
3)Craig Liebenson;雇用スクリーニングと、安全な職場復帰の判断のための機能的能力評価;脊椎リハビリテーション〈上巻〉 ; 東京 ;産学社; 2008;280-294.

*本記事は一般の方にもご理解頂ける事を趣旨としているため、医学的には適切でない表現が含まれている場合がありますが、予めご了承ください。

西山 伸夫
安曇野にしやま整骨院 院長 
柔道整復師 修士(健康科学)

安曇野市 穂高の整骨院
腰痛 肩こり 不調の原因を特定し
骨盤、姿勢矯正で根本改善

ホームページ↓
http://azumino-nishiyama.com

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