こんにちは。安曇野にしやま整骨院の西山です。
身体の不調を改善するためには、自己修復力を最大限に発揮するために、栄養面も重要になってきます。
私が栄養面で特に大事に考えているのが、水と塩の適切な摂取です。
なぜなら、水は身体にとって最も多い構成成分(約60~70%)だからです。
そして、水不足に陥る事で、関節、神経の痛みや様々な病気の原因になる可能性があります。
本記事では、水不足になる事がおこる問題点と、適切な水分補給の方法について述べていきたいと思います
水不足になる事でおこる身体の不調
頸、腰、膝の関節痛
関節の表面には関節軟骨という、衝撃を吸収するクッション構造があります。関節軟骨は、関節液という70%が水成分の液体で満たされ、関節軟骨を保護、栄養しています。
そして、関節液がどのように代謝されているかというと、滑膜(関節内の構造物)内にある毛細血管からの拡散に頼っています(関節軟骨には直接血管が分布していないため、これが軟骨が修復されにくいといわれている理由です)。毛細血管というのは、身体の血管の中でも最も細く、最も血流が悪くなりやすい血管です図1。
図1 関節軟骨と滑膜
関節軟骨は関節液によって栄養され、関節液は滑膜からの拡散により代謝される。滑膜への毛細血管への血流が悪くなれば、関節軟骨は栄養不足となる。
したがって、水不足により血液が濃縮され、血流が低下すると、栄養供給が難しい関節軟骨が真っ先に影響を受けやすい事が推察できます。
血流不足の結果、栄養供給不足となった軟骨は、本来の軟骨組織構造を保持する事が困難となり、いわゆる「軟骨の減り」がおこります。
また、水不足に陥る事で、身体の酸性の代謝産物(尿酸等)が腎臓から体外へ排出されなくなると、これらは関節部に蓄積し、通風関節炎の原因になります。
さらに、身体が酸性に傾いた状態が続くと、骨から骨の成分であるカルシウム、リン等を血中に溶かす現象(脱灰)がおこります。そして、血中のカルシウムやリンが高濃度の状態が続くと、肩や背骨、血管、尿管等、様々なところに石灰成分が沈着し、炎症をおこします。
痛み・炎症の増強
身体が水不足になると、その情報は脳で受け取られ、脳の神経細胞より、制御因子ヒスタミンが分泌されます。
ヒスタミンが分泌されると、末梢の組織ではキニン、プロスタグランジン、レニンアンギオテンシン等の様々なホルモンが分泌が増えます図21)。
図2 水不足により生じる身体の反応1)より転載
脳が水不足を感じると、末梢ではプロスタグランジン、キニンが産生され、末梢で痛みを引き起こす
その中でも、ヒスタミン、キニンは発痛物質として、プロスタグランジンは発痛増強因子として知られています。
これらの物質が関節、筋肉に働くと、炎症、痛みを引き起こします。
喘息、鼻炎、アトピー等の各種アレルギー
水不足の状態は喘息を悪化させる要因となります。先述したヒスタミンが気管支に働くと、気管支は狭くなり、気道がせまくなります。また、水不足で気道が乾燥すると、乾燥させないように粘液の分泌量が増えますが、塩が足りていないと、粘液の排出が上手くいかずさらに気道が狭くなり、喘息症状を悪化させる原因となります。
鼻粘膜においても水不足になる事で、粘膜は乾燥しやすくなり、免疫細胞は過敏状態になる事で鼻炎がおきやすくなります。
また、皮膚細胞においても水不足による乾燥で、外界からの刺激に反応しやすくなる事に加え、体内でのヒスタミンが皮膚で増強すればかゆみをおこしやすくなります。さらに、水不足にて腎臓での老廃物が上手く排出できなくなれば、体内に蓄積し、皮膚から老廃物を排出するために皮膚炎を起こすことも考えられます。
胃炎、食道炎、便秘等の消化器障害
水不足では、胃粘膜の保護作用である粘液(98%が水)が低下し、胃酸による胃壁の障害がおき、胃炎がおきやすくなります。食前30分前に水を適切に摂取することで、胃粘膜が保護され、予防効果が期待できます。
また、胃から腸へ消化物が流れる際、すい臓から分泌される重炭酸の作用で酸性の食べ物は中和され、腸を保護します。水不足になる事で、重炭酸が十分に分泌されず、胃から腸への通り道である幽門が開かず、酸性の消化物は食道へ逆流し、胸やけ等の食道炎症状を引き起こす原因となりえます。
腸においては、水不足となるとモチリンという 腸の蠕動運動を促すホルモンの分泌が減少し、消化物の水分が奪われ、便秘になりやすくなります。
身体の酸化によるがん発生リスク増加
身体の細胞は代謝に伴い老廃物が生じ、細胞は酸性に傾こうとします。その際、腎臓の機能により、老廃物は排出され、身体は中性を維持する事ができます。しかし、水不足になると、腎臓にて老廃物が除去されなくなり、身体が酸性に傾き、「酸化ストレス」が生じます。
酸化ストレスが生じると、私たちの身体を構成するアミノ酸やDNAに傷がつきます。DNAに傷がつき、エラーが生じると、がん細胞の発生リスクが高まります。
さらに、代謝の低下により、細胞が酸欠状態となると、がん細胞は無酸素状態で元気になる特性があるため、より増殖しやすい環境が整ってしまいます2)。
適切な飲水法と注意点
それでは、適切な水の摂取方法について、お伝えします。
一日に必要な飲水量
必要な水の量は、最低体重の30分の1と言われています。例えば体重が60kgの場合、飲む水の量は2L~です。必要量を一度に取るのではなく、時間帯で区切ります。例えば、起床時と入浴後、就寝前、食事の30分前は特に身体が水を必要としているので、この時間帯に意識して水を飲むようにしましょう。
水の管理
飲む水としては、水源が良ければ水道水で結構ですが、有害物質が心配な場合は浄水器を用いましょう。塩素臭が気になる場合は、夜間にポットに水を貯め、ふたを開けておくと塩素が揮発します。また、レモンを入れる事でも塩素が中和できるようです。
塩の重要性
身体の構成成分の70%が水であり、重要であるという話をしました。水の次に、身体の構成成分が多いのは塩です。そして、身体は塩と水からなる浸透圧によって、栄養や老廃物のやりとりをしています。以上の理由から摂取する塩の質と量もとても重要です。
浸透圧維持のために、1Lの水に対し、1gの天然塩を溶かして飲みましょう(0.1%の塩水)。
塩の種類としては、未精製の、天然の海塩、もしくはヒマラヤ産クリスタル岩塩を用います。これらは海水由来の身体にとって有益なミネラルを多く含みます。一方、精製された食塩は、塩本来のミネラルを含まず、塩辛い成分の塩化ナトリウムのみが残され、精製過程で添加物が使われており、これらは身体に害を及ぼします。
推奨する岩塩
もしむくみや下痢が続くようであれば、塩分を取りすぎている可能性があるので、2.3日塩の量を減らしましょう。逆に、動悸が強くなったり、筋肉に痙攣がおこる場合は塩が不足している可能性があります。お身体の状態を確認しながら調整しましょう。
お茶やコーヒー等のカフェインを含むもの、アルコール類は利尿作用により水分を失うため、水分補給にはなりません。
腎障害や泌尿器の障害がある方は、体内の水の代謝が上手くできずにお身体に負担がかかってしまう可能性があるため、実施前に担当医に確認しましょう。
まとめ
・水と塩は身体の構成成分の最も多くを占める栄養素である
・水と塩がある事で、細胞や組織は正常に代謝でき、自己修復能力が発揮できる
・脳は水不足に陥ると危険信号を発し、痛みやかゆみをひきおこす原因となり得る
・水不足では老廃物が代謝されず、身体は酸化し、様々な病気の原因となり得る
水の重要性について、参考になったでしょうか。
身体が水不足によって出している危険信号(痛みやかゆみ等)を、薬で抑え込むのは一時的に楽になるかもしれませんが、症状を進行させ、根本的な治療にはなりません。
身体自身がもつ本来の修復能力を発揮するためには、水と塩の適切な摂取が不可欠です。
本記事によって、ご自身が適切に水分摂取できているか、今一度見つめなおすきっかけになれば幸いです。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。
参考図書
参考文献
1)バトマンゲリジ;病気を治す飲水法; 中央アート出版社;2007.
2)ユージェル・アイデミール;なぜ塩と水だけであらゆる病気が癒え、若返るのか ;株式会社ヒカルランド ;2017.
*本記事は一般の方にもご理解頂ける事を趣旨としているため、医学的には適切でない表現が含まれている場合がありますが、予めご了承ください。
西山 伸夫
安曇野にしやま整骨院 院長
柔道整復師 修士(健康科学)
安曇野市 穂高の整骨院
腰痛 肩こり 不調の原因を特定し
骨盤、姿勢矯正で根本改善
ホームページ↓
http://azumino-nishiyama.com