こんにちは。安曇野にしやま整骨院の西山です。
今回の記事はO脚矯正についてご紹介します。
痛みだけでなく、美容上の観点から、O脚が気になりご相談を受ける事があります。本記事では、O脚についての概要と、矯正のポイントについてご説明していきます。
O脚の定義
まずはO脚のチェック方法を説明します。左右の足と膝をできるだけくっつけるようにし、膝が正面を向く意識で立ってみましょう。この時、足はくっついて膝の間に指が2本以上隙間があればO脚、膝がくっついて足が指2本以上離れた場合はX脚と言われています1)図1。
図1 O脚とX脚
左:O脚。膝の間に指2本以上隙間ができる
右:X脚。足の間に指2本以上隙間ができる
1)より抜粋
O脚をおこす2つの要素
O脚をおこす原因には大きく分けて、①骨の形態的問題(生まれ持った骨の形、変形等)と、②機能的問題(姿勢や偏平足等)があります。まずはこれらについて説明していきます。
①骨の形態的問題によるO脚
脚というのは骨盤、大腿骨、下腿骨(脛骨)という骨により構成されています図2。よって、これらの骨の形や関節に問題があると、O脚が生じる原因になります。では、どのような問題が生じるのかをご説明します。
図2 骨盤・大腿骨・下腿骨および膝
これらの骨の位置関係に異常が生じたり、形態的な問題が生じると、O脚が生じる。
2)より抜粋
大腿骨の頚体角増加
大腿骨の頚体角は通常120~135°が正常とされていますが、これが増加すると、外反股と呼び、バランスをとるために膝は内反するため、O脚になりやすくなります図3。
図3 頚体角
左:正常の頚体角
右:頚体角の増加により、膝はバランスをとるために内反し、O脚が生じている
大腿骨の前捻亢進
大腿骨が膝に向かって前に捻れる構造を持っています(8~15°)。この前捻が亢進すると、つま先を正面に向けた際に膝蓋骨が内側を向く寄り目状態となります。この状態で膝が伸展すると、膝同士の距離は離れO脚に見えます図4。
図4 大腿骨の前捻
大腿骨の前捻が強くなると、足は内股になりやすくなる。この状態で、膝が過伸展するとO脚に見える。
1)より抜粋
脛骨の外捻亢進
これは脛骨というすねの骨が、足に向かって外側に捻れる(12~18°)構造を持っていますが、この捻じれが大きくなると、大腿骨前捻と同様、つま先を正面にした際に膝蓋骨が内側を向き、O脚になります図5。
図5 脛骨の外捻
脛骨の外への捻じれが大きくなると、つま先を正面に向けた時に内股になりやすくなるため、この状態で膝が過伸展するとO脚に見える
2)より抜粋
脛骨の外方弯曲
脛骨が外側に向かって弓なりに弯曲した形だと、つま先をそろえた際に膝同士が離れやすくなるため、O脚に見えます図6。
図6 脛骨の外方弯曲
左の脛骨が外方へ弯曲している事により、O脚に見える事がある
1)より抜粋
膝関節の内反変形
膝の内側半月板の狭小化により、脛骨大腿骨幹角が減少すると、O脚になります図7。
図7 膝の内反変形
左:正常の膝。大腿骨の長軸に対し、脛骨の長軸は僅かに外反している。
右:内反変形した膝。膝の内側に隙間がなくなり、脛骨は内反している。
1)より抜粋
②機能的問題(姿勢)によるO脚
骨盤前傾によるO脚
骨盤の前傾が亢進(反り腰の状態)すると、ズレた骨盤の位置に対応するように、大腿骨、脛骨は内旋、膝関節は過伸展します。これを運動連鎖と呼びます。
大腿骨、下腿骨が内旋すると、膝蓋骨は内側を向く寄り眼状態となり、この状態で膝が過伸展すると膝の間に隙間ができ、O脚になりやすくなります図8。
図8 反り腰によるO脚
反り腰になると骨盤は前傾し、大腿、下腿は内旋および膝は過伸展し、足部は回内する(下行性運動連鎖)。すると、膝同士は離れるため、O脚に見える
一方、足部が回内(偏平足)になっても、下腿、大腿は内旋、膝は過伸展し、O脚が生じる場合がある(上行性運動連鎖)
1)より抜粋
骨盤後傾によるO脚
一方で、骨盤が後傾する事でもO脚は生じます。骨盤が後傾すると、運動連鎖により股関節、大腿、下腿は外旋します。さらに、骨盤が後傾する事で股関節、膝関節は屈曲しやすくなります。この状態となると、O脚になりやすくなります図9。
また、この姿勢はご高齢の方に多く見られ、膝内側への圧縮負荷が増えるため、膝関節の内反変形を進行させる姿勢であると考えられます。
図9 骨盤後傾によるO脚
骨盤が後傾する事で、大腿、下腿は外旋、股関節、膝関節は屈曲、足部は回外(ハイアーチ)し、O脚に見える(下行性運動連鎖)。
一方、足部が回外(ハイアーチ)しても、下腿、大腿の外旋、骨盤の後傾を生じさせ、O脚に見える(上行性運動連鎖)。
1)より抜粋
足のアーチの問題によるO脚
足のアーチに問題が生じていても、O脚が生じる原因になります。例えば偏平足(内側縦アーチ低下による足部回内)が生じると、運動連鎖により下腿、大腿、股関節の内旋と膝関節の過伸展、骨盤の前傾が生じやすくなります。逆に、ハイアーチ(内側縦アーチ上昇による足部回外)が生じると、運動連鎖により下腿、大腿、股関節の外旋と骨盤後傾が生じやすくなります図8.9。
以上のように、O脚といっても①形態的な問題と、②姿勢等の機能的問題等、様々な原因があります。そして、臨床においては①と②は単独ではなく、複合的に生じていると考えられます。
②の機能的問題の要素が大きい場合は、姿勢矯正等の施術によって改善する可能性は高くなりますが、①の形態的問題の要素が大きい場合は、改善が難しいと考えられます。
施術によってO脚が改善できるか否かは、これら多くの問題の可能性を把握し、正しく評価し、総合的に判断する事が必要となります。
よって、まずは自己判断で矯正エクササイズ等を行う前に、専門家による評価を受け、現状のO脚の状態を正しく把握した上でケアをされる事をおススメいたします。
まとめ ・O脚の原因には骨の形によるものと、姿勢によるものがある ・骨の形によるO脚は矯正が難しい可能性が高く、姿勢が原因のO脚は改善できる可能性が高い ・実際には骨、姿勢両者の問題が複合的に関わっているため、矯正治療をする前にどちらが主な原因かを正しく評価する事が重要
ご参考になれば幸いです。
今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました(^-^)
参考文献
1)竹井 仁;膝関節と足関節のアライメント不良と修正エクササイズ ;姿勢の教科書 ; 東京 ;ナツメ社; 2015;180-200.
2)新関 真人;マイクロ(部位別)姿勢検査;姿勢の教科書 ; 神奈川 ;医道の日本社; 2003;61-133.
3)KENDALL;姿勢:アライメントと筋バランス;筋:機能とテスト-姿勢と痛み- ; 東京 ;西村書店; 2006;79-99.
4)樋口 貴広, 建内 広重;運動連鎖と姿勢制御;姿勢と歩行 協調からひも解く; 東京 ;三輪書店; 2015;59-86
*本記事は一般の方にもご理解頂ける事を趣旨としているため、医学的には適切でない表現が含まれている場合がありますが、予めご了承ください。
西山 伸夫
安曇野にしやま整骨院 院長
柔道整復師 修士(健康科学)
安曇野市 穂高の整骨院
腰痛 肩こり 不調の原因を特定し
骨盤、姿勢矯正で根本改善
ホームページ↓
http://azumino-nishiyama.com