こんにちは。安曇野にしやま整骨院の西山です。
今回は前回記事「頭痛の原因」に関連する、頭痛と併発しやすい、目、耳、鼻、顎の不調について記事にしました。
記事の要旨
・頸椎の問題が、頭痛だけでなく、目、耳、顎の不調をおこすことがある
肩こりや頭痛で来院される方の中には、「目がかすむ、疲れやすい」、「めまい、耳鳴りがする」、「顎、歯がうずく」等の症状もお持ちの方がいらっしゃいます。
なぜ、このような事がおこるのでしょうか?
理由は、肩こりや頭痛を知覚する神経と、目、耳、歯の痛みを知覚する神経の、脳へ情報を送る神経解剖学的経路にあります。
まず、肩こりや後頭部痛を知覚する神経(上位頸神経)は、頸部および後頭部に分布しており、痛みの情報は頸椎の中にある脊髄(頚髄)を経由し、脳へ伝えられると「痛み」として知覚されます1)。
一方で、
前頭部、目の奥、鼻腔(鼻洞)、顎周囲の知覚を支配している神経(三叉神経)は、脳内にある脳幹(三叉神経脊髄路核)を経由し、脳へ伝わり、痛みを知覚します図1。
図1 頸神経、三叉神経、舌咽・迷走神経の分布 1)より転載
頸神経は頸椎と後頭部、三叉神経は頭部、目、鼻、顎周囲に、舌咽・迷走神経は喉、耳周囲に分布している。
ここが重要なポイントなのですが、肩こりや頭痛を知覚する頚神経→頚髄の経路と、前頭部、目、歯の痛みを知覚する三叉神経→脊髄路核の経路は、互いにオーバーラップした経路(三叉頚髄核)にて情報を中継し、脳へと伝えている事です図22)。
図2 三叉頚髄核 1)より転載
頸の痛みを支配している神経と、目や鼻、耳等を支配している神経は三叉頚髄核の同じ領域を経由し、痛みの情報を脳へ伝えている
さらに、三叉頚髄核へは、耳や喉等の知覚に関わる舌咽神経、迷走神経も合流しています図1。
簡単に説明しますと、頸の痛みの神経と、目や耳、鼻、顎の痛みの神経は同じ経路を経て、脳に情報を伝えているという事です。
このような解剖学的理由により、例えば頸に問題が生じ、痛みの情報が脳へ伝えられる過程で、脳は頸だけでなく、本来の患部ではない目や耳にも痛みがあると錯覚し、目や耳の痛みを感じてしまう事があります。
このような現象を 関連痛 と呼ばれています。
これが、頸、肩こりの方に目や耳の症状が併発する原因の1つであると考えられます。
(逆に、長時間のスマホやPC作業で目を酷使した際や、花粉症での鼻づまり、歯の噛み合わせ不良や虫歯等でも肩こり、頭痛が生じる可能性があります)
もちろん、頭痛やめまいには脳内や内耳、歯科領域の病気が潜んでいる場合がありますので、一度専門医の検査を受けることは重要です。
しかし、精密検査、投薬治療を受けても症状が改善しないような、長い間続いているめまい、頭痛、耳鳴り等の不調がある場合、頸由来の症状を疑い、施術する事は有用ではないかと考えられます。
まとめ
1.頸、肩に痛みがあると、目、耳、鼻や顎等に関連痛、その他の不調症状が生じる事がある。
2.脳や内耳の検査を受けても問題がないにも関わらず、症状が改善しない場合は頸の問題を疑う。
3.頸の施術および姿勢矯正を行うことで、症状が改善する可能性がある
以上
ご参考になれば幸いです。
今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました(^-^)
参考文献
1)清水 曉;頭蓋表層の解剖学的要因による頭皮神経痛と頭痛―眼窩上神経痛・後頭神経痛・開頭術後頭痛― ;臨床神経学; 2014;54-5.
2)斎藤 昭彦;頭痛の神経解剖学 ;理学療法科学 ; 1994;11-4;207-209.
*本記事は一般の方にもご理解頂ける事を趣旨としているため、医学的には適切でない表現が含まれている場合がありますが、予めご了承ください。
西山 伸夫
安曇野にしやま整骨院 院長
柔道整復師 修士(健康科学)
安曇野市 穂高の整骨院
腰痛 肩こり 不調の原因を特定し
骨盤、姿勢矯正で根本改善
ホームページ↓
http://azumino-nishiyama.com