噛み合わせの乱れが引き起こす肩こり・頭痛のメカニズム

咬合と肩こり その他

はじめに

日常生活の中で、多くの方が「肩こり」や「頭痛」といった症状に悩まされています。長時間のデスクワークやスマートフォンの使用が原因と考えられがちですが、実は「噛み合わせ」も大きな要因になることをご存じでしょうか?

今回は「身体を蝕む噛み合わせ」という書籍から得た知見をもとに、噛み合わせと上位頚椎(首の一番上の骨)の関係、そして全身への影響について解説します。


噛み合わせの“がたつき”とは何か

歯と歯がしっかりと嚙み合っていれば、咀嚼や発音、嚥下といった機能はスムーズに行えます。しかし、歯の高さや位置がわずかにずれることで「がたつき」が生じることがあります。これを歯科用語で「咬合干渉(こうごうかんしょう)」と呼びます。

この小さなズレが、頭蓋骨の一部である蝶形骨や側頭骨の歪みを引き起こし、目・鼻・耳といった感覚器官にも影響を及ぼすと考えられています。


咀嚼筋と舌骨筋群への影響

噛み合わせが乱れると、ものを噛むための筋肉(咀嚼筋群)や口を開ける・飲み込む動きを助ける舌骨筋群にアンバランスな緊張が生じます。

結果として、

  • 上顎や頭蓋骨が傾く
  • それを支える上位頚椎(C1・C2)が歪む
  • 頭痛や肩こり、首のこわばりへと発展する

という流れが生じます。

また、上顎を安定させるための後頭下筋群や頚部の筋肉にも異常な緊張が加わり、症状をさらに悪化させてしまうのです。


上位頚椎と神経への圧迫

上位頚椎には、脳幹の一部である延髄が収まっています。もし上位頚椎に歪みが生じれば、延髄が圧迫されて神経伝達に障害が起こる可能性があります。

延髄は自律神経の中枢とも深く関わっており、その働きが乱れると消化器や呼吸器の不調にまで広がります。

さらに、視神経と嗅神経を除く多くの脳神経は脳幹から出ており、特に重要なのが以下の2つです。

  • 迷走神経:内臓機能、咀嚼、嚥下、発声に関与
  • 副神経:首や肩の筋肉を支配

この二つの神経が影響を受けると、全身のさまざまな不調につながってしまいます。


咬合と姿勢のつながり

興味深いことに、上下の歯を嚙み合わせた時にできる「咬合平面」の延長線上には、第二頚椎(C2)が位置しています。

噛み合わせが崩れることで、このラインと頚椎の関係が乱れ、姿勢の悪化や猫背、頭部前方位といった問題を引き起こす可能性があるのです。

つまり、噛み合わせは歯や顎だけでなく、姿勢や全身バランスにも直結していると言えます。


噛み合わせを整えるとどうなるか

著者は「噛み合わせを正すことで、上位頚椎が自然と正しい位置に矯正され、身体の不調が改善する」と述べています。確かに、噛み合わせと姿勢の関係を考えれば理にかなった考え方です。

ただし、ここで重要なのは「一方向の因果関係」だけを考えないことです。


私の考え

確かに噛み合わせの乱れは上顎から後頭骨を介して上位頚椎に影響し、全身の不調を引き起こすことがあります。

しかし逆に、骨盤や足のアーチ、脊柱の歪みが噛み合わせに影響を与える場合も多々あります。つまり、噛み合わせと骨格は相互に影響し合っているのです。

さらに、長期間にわたって歪みが放置されている場合、関節や靭帯は硬化し、機能が低下しています。そのため噛み合わせの治療だけでは不十分であり、骨格矯正を含めた全身のアプローチが必要です。

とはいえ、噛み合わせの問題を軽視してしまうと、根本的な改善には至りません。今後は歯科の先生との連携も深め、患者さまの身体をトータルでケアしていくことが重要だと改めて感じています。


まとめ

噛み合わせの“がたつき”は、単なる歯や顎の問題ではありません。咀嚼筋や舌骨筋群を緊張させ、頭蓋や上顎を傾け、最終的には上位頚椎を歪ませて頭痛や肩こり、全身の不調へとつながります。

そしてその逆に、全身の骨格の歪みが噛み合わせを悪化させることもあります。

だからこそ大切なのは「部分的な治療」ではなく「全身をトータルで整える視点」です。

かみ合わせと顎関節、上位頸椎は密接に関係しています。
これを理解し、歯科と整骨院が連携しながら患者さんの健康を支えることが、根本的な改善への道だと考えています。


*本記事は一般の方にもご理解頂ける事を趣旨としているため、医学的には適切でない表現が含まれている場合がありますが、予めご了承ください。

西山 伸夫
安曇野にしやま整骨院 院長 
柔道整復師 修士(健康科学)
痛みと姿勢治療の専門家

安曇野市 穂高の整骨院
腰痛 肩こり 不調の原因を特定し、
日常動作と姿勢の矯正で根本改善を目指す。

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